4月は学校全体が地面から
5cmくらい浮いているような感じがする。

生徒たちの浮き足立った心が、
校舎から校庭の隅々まで
埋め尽くしているからかもしれない。
うちは中学から大学までの一貫校なので、
その分、浮き足立った空気の分量も大きい。

慌ただしいのに変化のない毎日を
過ごしているせいか、
私はこの空気が割と好きだ。

だからというわけではないけど、
始業式の日の放課後、
「すみません」と呼び止められた時、
足を止めて振り向いた。