家に帰ると、私は新しいノートを取り出した。
私の好きな、グレーがかった水色。

そのノートに、佐藤直規に遭遇した時期と
その時のようすを思い出して書き出す。
少しでも何かヒントが欲しかった。

佐藤直規と遭遇したのはどんな時なのか。
でも、ただ事実がずらずら並んだだけで、
何もわからなかった。

それでも、ドアを開けたり場所を移動するたびに、
もしかしたら佐藤直規が現れるんじゃないかって期待してしまう。
完全に挙動不審だ。

暑苦しいし、面倒くさい人だけど、話したいことがたくさんある。

なのに、佐藤直規が現れる気配がまったくないまま、春休みが終わった。