「ってことは、佐藤直規も信じるんだ、パラレルワールドの話」
「完全に信じたわけじゃないけど。
もしそれが本当だとして、黒髪さおりと金髪さおりがいるわけだろ?」
「らしいね」
「ってことは……やっぱりいるのかな。もう一人の俺も」
言われてみればそうだ。
人のことだから、考えてもみなかったけど。
「そうなるね」
「うわ、やだなー。でも……」
「気になる。でしょ?」
含み笑いの私を佐藤直規がにらむ。
「安心して。もし出会ったら、速攻で報告するから」
「頼むよ。ってお前、どうやって報告するんだ?」
言われてみればそうだけど。
「とりあえず、スマホ出して」
「は? 何で?」
「いいから」
「いやです。何に使うわけ?」
「ごちゃごちゃうるせえなあ」
出た。得意の逆ギレ。
「あのねえ。私は佐藤直規の彼女じゃないんだよ? 彼女でも断るけどね。
理由も言わずに、いきなりスマホだせなんて、何様だって感じ」
「決まってるだろ。直規様だよ」
「はあ? バッカじゃないの」
「お前なー。まあいいや。
じゃあ俺の番号を教えるから、今かけてみて」
「だから、何で?」
「考えてみろよ。
俺が今、この世界で頼れるのはお前だけだ。
ということは、お前がこっちの世界に来た時、頼れるのは俺だけなんだぞ」
確かに、それはそうだ。
私は渋々スマホを出し、言われた番号にかけた。
「つながった!」
佐藤直規が嬉しそうにスマホを突き出す。
こうして話していると、この人が別の世界の人だってことを忘れそうになる。
それは、佐藤直規も同じらしい。
すぐに神妙な顔になって、つぶやいた。
「これからどうなるんだろうな、俺たち」
だね、とうなずいてから、
「俺たち?」と思ったけど、そうかもしれない。
このわけのわからない状態に佐藤直規とともに放り込まれているのは、
紛れもない事実なのだから。
「大丈夫だってば」と何度も言ったのに、
「高校生とワリカンなんてできるか」と
今回もおごってくれた佐藤直規は、
私より一歩先にカフェを出たところで消えた。
「完全に信じたわけじゃないけど。
もしそれが本当だとして、黒髪さおりと金髪さおりがいるわけだろ?」
「らしいね」
「ってことは……やっぱりいるのかな。もう一人の俺も」
言われてみればそうだ。
人のことだから、考えてもみなかったけど。
「そうなるね」
「うわ、やだなー。でも……」
「気になる。でしょ?」
含み笑いの私を佐藤直規がにらむ。
「安心して。もし出会ったら、速攻で報告するから」
「頼むよ。ってお前、どうやって報告するんだ?」
言われてみればそうだけど。
「とりあえず、スマホ出して」
「は? 何で?」
「いいから」
「いやです。何に使うわけ?」
「ごちゃごちゃうるせえなあ」
出た。得意の逆ギレ。
「あのねえ。私は佐藤直規の彼女じゃないんだよ? 彼女でも断るけどね。
理由も言わずに、いきなりスマホだせなんて、何様だって感じ」
「決まってるだろ。直規様だよ」
「はあ? バッカじゃないの」
「お前なー。まあいいや。
じゃあ俺の番号を教えるから、今かけてみて」
「だから、何で?」
「考えてみろよ。
俺が今、この世界で頼れるのはお前だけだ。
ということは、お前がこっちの世界に来た時、頼れるのは俺だけなんだぞ」
確かに、それはそうだ。
私は渋々スマホを出し、言われた番号にかけた。
「つながった!」
佐藤直規が嬉しそうにスマホを突き出す。
こうして話していると、この人が別の世界の人だってことを忘れそうになる。
それは、佐藤直規も同じらしい。
すぐに神妙な顔になって、つぶやいた。
「これからどうなるんだろうな、俺たち」
だね、とうなずいてから、
「俺たち?」と思ったけど、そうかもしれない。
このわけのわからない状態に佐藤直規とともに放り込まれているのは、
紛れもない事実なのだから。
「大丈夫だってば」と何度も言ったのに、
「高校生とワリカンなんてできるか」と
今回もおごってくれた佐藤直規は、
私より一歩先にカフェを出たところで消えた。