「は?」

「1999年5月6日生まれなら、俺と同じ、20歳のはずじゃんか」

口を尖らせた佐藤直規を、私は呆れながら諭した。

「2017年引く1999年は18でしょ? 
ちなみにまだ誕生日が来てないから17だけど」

ついタメ口になったけど、今はそれどころじゃない。
すると、佐藤直規はもっと呆れた顔で吐き捨てた。

「今は2019年だろ。この前、誕生日プレゼントあげたじゃん」

ここまで噛み合わないと、イライラを通り越してうんざりしてくる。

「そんなもの、もらってないし」

佐藤直規が「出たよ」とわざとらしくため息をつく。
ほんと、嫌な感じ。

「ほら。見ろよ」

そう言って、自分のスマホのホーム画面を差し出す。
そこには、2019年7月7日の文字。

「何これ。こんなフェイク画像まで作って、人を騙したいわけ?」

「はあ? お前、何言ってんの?」

睨みつけても、私が引かないと気づいたのだろう。
佐藤直規は「よし、わかった」とどこかに行こうとして、振り返った。

「すぐ戻ってくるから、逃げるなよ。すぐだから!」