「な?」

佐藤直規が私とスマホ画面を交互に指差した。

どれも撮った覚えがないのに。
この写真に写っている人たちだって、全然知らない。
しかも、私がメイクで金髪ショートって、ありえない。

これ、私じゃない。私の顔だけど、私じゃない。

だけど、なんだろう、この気持ち悪さは。
「ものすごくよく似ている赤の他人」
とは言い切れない、妙な違和感がある。

わかんない。全っ然、意味がわかんない。
私はテーブルに肘をついて、頭を抱えた。

「大丈夫か?」

佐藤直規の心配そうな声に、顔を上げる。

「あ、はい」

「ショック受けちゃったか。そうだよな。似すぎだもんな」

佐藤直規がすまなそうにスマホをしまう。

「実物も似てるんですか? 声とか。
ですよね、間違えたくらいだもん」

だめだ、まだ混乱してる。
佐藤直規は「うん」とうなずいてから、
探るように言った。

「お前も、八月一日さおりなんだよな? 
1999年5月6日生まれで、
家の最寄駅は京急線の日ノ出町駅で、親父さんが横須賀総合病院の脳神経外科医で」

……合ってる。

私は佐藤直規と目を合わせたまま、こくんと頷いた。