「それで? それで、どうなったの?」

「もう一人の俺の……
思いみたいなもの、かな。
それが、うわーって流れ込んできてさ。
自分の中に俺が二人いる感じになったの。
で、目が覚めたら、目の前にさおりんがいた。
だから今、すげえ得した気分」

えへへ、と目尻を下げた顔は、いつものフジミんの顔に見えた。

「助けてくれて、ありがとう」

頭を下げると、フジミんは口角を上げたまま、首を横に振った。

「お礼を言うのは、俺の方だよ」

「フジミんが? どうして?」

「俺、やっとスタート地点に立てた気がする。さおりんと同じ場所に」

直規と同じ、大人びた目。