「俺の名前は佐藤直規。
直角の直に定規の規でナオキ。
今、横浜学院大学の二年生」
山下公園の端っこにある、レストハウス。
ガラス張りの建物を選んだってことは、
一応私の警戒心を解こうとしているらしい。
窓際の席に向かい合って座ると、男はいきなり財布の中身をテーブルの上に並べた。
「はい、これが免許証と学生証、それと保険証ね」
3枚とも名前の欄には男が名乗った通り、佐藤直規と書かれている。
免許証の写真も、目の前の佐藤直規と同じ顔。
でも、そんなことは正直どうでもいい。
問題はこの人が「横浜学院大学」の学生だってこと。
このままいけば、私が来年から通うはずの大学だ。
こんな偶然、あるわけない。
やっぱりこの人、ストーカーだ。
動揺を悟られないよう、私はテーブルの下でぎゅっと手を組んだ。
「まだ信用できない?」
固まったままの私を、佐藤直規がのぞき込む。
何かを察したように、
「あ!」と
大きな両手をパンと鳴らしてスマホを取り出した。
「これ見てみ。俺がストーカーじゃないってわかるだろ?」
目の前に差し出されたスマホの画面を見た瞬間、心臓が止まるかと思った。
何これ……私?
佐藤直規と顔をくっつけて楽しそうに自撮りする私、
知らない人に囲まれて笑う私、
ハロウィンの仮装ではしゃぐ私。
私、私、私……。
直角の直に定規の規でナオキ。
今、横浜学院大学の二年生」
山下公園の端っこにある、レストハウス。
ガラス張りの建物を選んだってことは、
一応私の警戒心を解こうとしているらしい。
窓際の席に向かい合って座ると、男はいきなり財布の中身をテーブルの上に並べた。
「はい、これが免許証と学生証、それと保険証ね」
3枚とも名前の欄には男が名乗った通り、佐藤直規と書かれている。
免許証の写真も、目の前の佐藤直規と同じ顔。
でも、そんなことは正直どうでもいい。
問題はこの人が「横浜学院大学」の学生だってこと。
このままいけば、私が来年から通うはずの大学だ。
こんな偶然、あるわけない。
やっぱりこの人、ストーカーだ。
動揺を悟られないよう、私はテーブルの下でぎゅっと手を組んだ。
「まだ信用できない?」
固まったままの私を、佐藤直規がのぞき込む。
何かを察したように、
「あ!」と
大きな両手をパンと鳴らしてスマホを取り出した。
「これ見てみ。俺がストーカーじゃないってわかるだろ?」
目の前に差し出されたスマホの画面を見た瞬間、心臓が止まるかと思った。
何これ……私?
佐藤直規と顔をくっつけて楽しそうに自撮りする私、
知らない人に囲まれて笑う私、
ハロウィンの仮装ではしゃぐ私。
私、私、私……。