直規は暗い海を見つめたまま、
「自分でもカッコ悪いって思うんだけどさ」と笑った。

「直規以外の人のことなんて、好きにならないよ」

私がどれほど直規のことが好きかわかってほしくて、
怒ったような言い方になる。

「私も、金髪の世界に接ぎ木したいよ。そうしたら直規と」

ずっと一緒にいられるのに。
そう言う前に、「だめだ」とピシャリとたしなめられた。

「今さっき、自分で言ったじゃんか。
金髪には自分の人生で幸せになって欲しいって。
俺だって、さおりと一緒にいたいよ。
でも、接ぎ木できずに、死んでしまったら? 俺、そんなのイヤだよ」

直規は正しい。
正論すぎて、何も言い返せない。
でも、今の私を救ってくれるのは正論なんかじゃない。

世界は知らないうちにどんどん枝分かれして、
今こうしている間にもどんどん枝分かれして、私たちを運んでゆく。