でも……やっぱり嬉しい。

「ありがとう。
でも、金髪のこと、放っておけないってあんなに言ってたじゃない。
それに私と金髪は、二人で一人なの。だから」

遮るように、直規に肩を強くつかまれた。

「じゃあ、俺がフジミんと付き合えって言ったら付き合えるか？　
元は同じでも、俺とあいつは別人なんだぞ？」

「痛いよ、直規」

私の声に、直規が手をゆるめた。

「私だって同じだよ。
でも、いろいろ考えたけど、他に金髪を救う方法が思いつかないの。
やっぱり私、金髪には自分自身の人生で幸せになってほしいんだ」

すがりついた私に、直規が口をつぐむ。

波の音だけが聞こえる砂浜で、体を離した私たちは、黙って海を見た。