心の中はこんなに直規でいっぱいなのに。
これから私、どうすればいいんだろう。

……なんて、答えが出ないことを考えるのはやめよう。

昨日からずっと、直規がいそうなところを考えていた。

大学のプール棟。
バイト先の映画館。
ランニングルートの山下公園。
みなとみらいのスタバ。
それから、海。

春分の日は、やっぱり海にいる気がする。
たぶん、亡くなったお父さんが連れて行ってくれた海岸に。

問題は、それがどこの海かってことだ。

フジミんという頼みの綱が切れてしまった今、
私にできることは少ない。

でも、腹は決まった、つもり。

美園と真澄が「付き合うよ」と気遣ってくれたけど、断った。
最後は、直規と二人で過ごしたいから。

日の出町駅から京急線に乗り、横浜でJR東海道線に乗り換えて、
しらす丼のお店が近くにありそうな海を片っ端から回る。

平塚、茅ヶ崎、辻堂。
小田急線に乗って鵠沼、片瀬江ノ島の西浜と東浜。
今度は江ノ電に乗って腰越、七里ヶ浜、稲村ヶ崎、由比ヶ浜。

でも、直規の姿はどこにもなかった。