息の詰まる沈黙。
さすがに、言葉が出てこない。

気まずさを一掃するように、るいさんが無理に笑顔を作って言った。

「もう帰らなきゃね。
かおりちゃん、お家はどこ? 送るよ」

立ちあがったるいさんが、よろよろ歩き出す。
その細い体を支えながら、私たちは夜の街を歩いた。

「さおりさん、見つかってないんですよね? 
だったら、どこかで生きてるのかも」

るいさんが目を伏せて首を振った。

「それはないと思う。いろんな人が探したんだもの」

確かにそう考える方が自然かもしれない。
でも……。

フジミんが金髪に会った時、金髪はずぶ濡れだった。
そう言っていた気がする。

それって、死ななかった金髪がこっちに飛んで来たってこと? 

もしそうなら……
目の前のるいさんは、金髪が助からなかった世界に生きているってこと? 

考えてみたけど、頭がこんがらがってしまう。