私が自販機で買ってきたミネラルウォーターを飲んで落ち着いたらしい。
るいさんは「ごめんね」とはにかんだ。

何でこんなに弱々しい笑顔なんだろう。
看護師のるいさんのように、まっすぐ立って好きな場所に行く強さがこの人にだってあるはず。

そう思ったら、無性に腹が立った。

「しっかりしてください。
るいさんは、本当はもっと強い人だと思う。
さおりさんだってそう。
二人とも、本当は強いのに弱いって思い込んでるだけだよ」

るいさんが、驚いたように私を見た。

「そうかな。そうかもね」

怒ると思ったのに、るいさんは目を落として、「ふふ」と笑った。

そんなふうに、すべてを諦めたような笑い方をしないでほしい。

「今からだって、間に合いますよ」

叱られた子供みたいに、るいさんが小さく首を振る。

「もう遅いの」

「遅いって?」

「もういないの、あの子は」

ドクン。心臓が大きく波打つ。

「お酒を飲んで夜の海に入って……」

「それで?」と尋ねた私の声は震えていた。

「それっきりだったって。
遺体も見つからなかったみたい」