私にはどうしたって気の重い日が、月に2回ある。
第1日曜と第3日曜だ。

その日の朝はカフェオレじゃなくて
ブラックコーヒーを飲む。

苦いコーヒーでガツンと気合を入れないと、
家から出る気になれないから。

2月4日の今日は平日だけど、入試日で学校はお休み。

毎年この日は美園たちと三人で遊ぶのがお約束だったけど、今年は違う。

美園に続いて真澄まで大学生の彼氏ができて、
二人ともデートで忙しそうだ。

去年までみたいに「入試日、どうする?」
なんて話も出なかったのは寂しいけど仕方ない。
ここは前向きに行こう。

自称「一人ぼっちのプロ」の私は、学校も塾もない節分の朝、
コーヒーの苦さで強引にテンションを上げた。

グレーのニットワンピに、地味すぎる黒いナイロンバッグで家を出る。

たくさん荷物が入るバッグはこれしかないから、仕方がない。

バスで桜木町に出て、JR線に乗り換える。
二つ目の石川町で降りると、元町商店街を通り抜けて長い坂を上る。

荷物も多いし、ちょっと辛い。
訂正。だいぶ辛い。

「あー、もう!」と叫びたくなる頃、「山手すこやか苑」が見えてきた。
父の母、つまり私の祖母が昨年から暮らしている介護施設だ。