飛び乗った下りの快特を、横須賀中央駅で降りる。
海とは反対の西口に出て、アーケードが続く坂道を急いだ。

梅雨の蒸し暑さに、Tシャツの首元からすぐに汗が噴き出す。

まさか、真紀子さんに続いてお父さんまで……。

いや、今そんなことを考えても仕方がない。

そう自分に言い聞かせてから、おかしなことに気づいた。

運ばれたって、どうして? 病院にいたんじゃないの?

その時、手の中のスマホがまた震えた。

今度は、046で始まる固定電話の番号だ。

「もしもし」

「八月一日光春先生のお嬢さんですか?」

「はい」

「こちら、横須賀総合病院です。
八月一日先生がこちらに搬送されましたので、お出でいただけますか?」

え? 何これ、デジャヴ?

「今、向かってます」

電話を切ってすぐ、病院が見えてきた。