「真澄の彼氏も
パラレルなんとかに行っちゃったの?」

私より先に美園が真澄の話に食いつく。

「ううん、そうじゃなくて。
彼の元カノのお母さんが
そういう話に詳しかったらしくて。
パラレルワールドの話を
聞いたって教えてくれたんだ。
だからってわけじゃないけど、
私は信じるよ、さおりのこと」

私も、と美園がうなずく。
やっぱり二人は優しい。
もし私が逆の立場だったら、言える気がしない。

「そうだ、
さおりにはまだ言ってなかったけど、
私、うちの大学に行くことにしたよ」

唐突な真澄の告白に、思わず振り向く。

「そうなの?」

「うん。私はクリエイタータイプじゃ
ないってわかったから」

「彼氏から何か言われたんだよ、絶対」

美園が私に耳打ちすると、
「そうですけど、何か?」と真澄が開き直る。

「だから、私も頑張るよ、期末テスト」

真澄の言葉は、
「さおりも一緒に頑張ろう」
って言ってるように聞こえた。

そうだよね。しっかりしろ、私。
今のままじゃ、真紀子さんにも怒られちゃう。

「ありがと。私も、頑張る」

私は久しぶりに二人の目をまっすぐに見て笑った。