「なんかさあ、ちょっとムカつくよね」

「ごめん」

ほんとだよ、と美園が口を尖らせる。

「だって、私たちばっかり、
さおりのこと好きみたいじゃん」

美園は私のほっぺたを軽くつねった。

「そんなことないよ」

「あるよ。
遊びに行こうって誘うのはいつも私たちだし」

「だよね。さおりはさ、
たいして好きじゃないんだよね、私たちのこと」

真澄までそんなこと言って。

「そんなことない。
好きだよ、私。
美園のことも、真澄のことも」

「素直でよろしい」

満足げな美園に、もう一度ほっぺたをつねられた。

「痛いって。美園は、
自分が思ってる3倍は力が強いからね」

私の言葉に笑ってうなずいた真澄が、
ふと思い出したように言った。

「そういえば、
私の彼氏も前に話してたんだよね、
パラレルワールドのこと」