直規の書き込みをよく見ようと、私はノートを引き寄せた。

「バンジーの日付、間違ってない？」

「気づいた？　でも、間違ってないよ」

「え、だって…」

「要するに、俺は金髪よりも先に、お前に出会ってたんだよ」

「嘘でしょ？」

「本当だって。お前がすげえあっさり飛ぶから、
びっくりしたよ。その数カ月後にバイト先で金髪に会った時、
『バンジーの時の子だ』って思って話しかけたんだもん」

あの時の直規がちょっとだけ幼く見えたのは、
そういうことだったんだ。

「何で黙ってたの？　私の方が先だって」

さっさと言ってくれればいのに。
けど、直規は困った顔で言葉を濁した。

「言えるかよ、そんなこと」

「どうして？」

ガタン。美園が音を立てて立ち上がった。
まずい。目の前に美園がいるのに、
すっかり忘れて直規と話し込んじゃってた。