どうしよう。関わらない方がいいのかな。

「大丈夫? 立てる?」

その人は、さっきの動揺などなかったように、私を気遣う。

「だ…いじょうぶです」

何とかそう返すと、女の人の目が再び揺れた。
声まで似ていて驚いたのだろう。

懐かしさと動揺が混じった顔。悲しげな目が、
全身黒のスタイルを喪服のように見せる。

彼女に肩を支えられて立ち上がると、
ミニスカートから出ている膝小僧に血がにじんでいた。
これじゃ痛いはずだ。

「手当しなくちゃ。
私の家、すぐそこなの。よかったら、どうぞ」

彼女が私の目をじっと見つめる。
声も笑顔も優しいけれど、有無を言わせない目。
私がうなずくと、美しいその顔が、花が咲いたように明るくなった。

「荷物、持ってあげる」

優しい声に、思わずバッグを差し出そうとして、すぐに引っ込めた。
その人も大きな黒いキャリーバッグを手にしていたから。

「大丈夫です」

荷物を胸の前で抱えて首を振ると、美しい顔が曇った。

悪いこと言っちゃったのかな。