「俺たちはソメイヨシノなんだってさ」

「ソメイヨシノ? 桜の?」

ああ、と面倒くさそうにうなずく。

「桜並木って、一斉に咲くだろ。
あれって、ソメイヨシノだからなんだって」

唐突すぎて意味がわからない。
けれど、とりあえず黙って聞くことにした。

「ソメイヨシノって、どれも遺伝子が全部一緒なんだって。
だから、同じ時期に一斉に咲くんだってさ」

ふうん。クローンみたいなものか。

「で、ソメイヨシノの雌しべは同じ遺伝子を持つ花粉とは受粉できない。
だから、ソメイヨシノが周りにあっても、受粉できない」

やっぱり話の着地点がわからない。

「でも、ソメイヨシノ以外の桜の花粉が飛んでくれば、
受粉できるんだって。……って、金髪のさおりが言ってた」

なるほど。
自分と同類だけど違う、
それでいて自分を変えてくれる何かを探しているってわけか。