「まったく、しょうがねえな、金髪は」

直規は呆れたように首を振った。

直規が一番気になるのは、やっぱり金髪の方なんだ。
そのことに、地味に傷つく自分に戸惑う。

「金髪のやつ、大学を辞めたらしいんだ」

「どうして?」

「さあ。本人に連絡しても繋がらないし、
家に行っても誰もいないし」

直規はイラついているのか、
右手のアイスカフェラテのカップをぐるぐる回した。

「あいつは本当に落ち着きがなくてさ。いっつも探してるんだ」

「探すって、何を?」

「自分を変えてくれる何か」

「何それ」

「俺が知るかよ」

直規が苛立たしげに私をにらんだ。

「私に八つ当たりしないでよ」

「お前もさおりだろ」

「だから、別人だって言ってるでしょ」

私もついキツい口調になる。
直規はそれには答えず、大きくため息をついた。