参った。
フジミんがパラレルワールド話に
あんなに食いつくと思わなかった。
信じたというより、
「やべえ、何それ!」って一人で盛り上がってる。
完全に、面白い遊びを見つけた小学生男子の顔。
あれ以来、ますます付きまとわれるようになってしまった。
あまりにもしつこいので、
「この前のパラレルワールドの話、作り話だから」
と言ってみたけど、
「じゃ、もっと面白い話して!」ともっと面倒くさいことを言う。
なのに、肝心の美園との関係はこじれたままだ。
お昼休み、チャペル前の芝生で一人でお弁当を食べていると、
パン田くんが現れた。
「真澄ちゃんが、たぶんここだよって」
パン田くんはいつもの笑顔で私の隣に座った。
こういう時は、聞かれる前に言っちゃった方がいい。
この何日かで学んだ教訓だ。
「この前の人ね、友だちの彼氏なの。
いろいろ行き違いがあって。でも、大丈夫だから」
「本当? それならいいけど。
前もあの人ともめてなかった?」
「え? いつの話?」
「終業式の日かな。図書館で見かけたけど、
話しかけられる雰囲気じゃなくて…」
直規のことだ。
この状況を話したら、直規は何て言ってくれるかな。
黙り込んだ私の隣にパン田くんがちょこんと座る。
「カッコイイよね、あの人」
「あの人って、どっち?」
「どっちって、同じ人でしょ?」
「あ、うん、そうそう」
「はっさく、ちょっと動揺してる?」
「してないって」
「嘘だ。好きなんでしょ、あの人のこと」
フジミんがパラレルワールド話に
あんなに食いつくと思わなかった。
信じたというより、
「やべえ、何それ!」って一人で盛り上がってる。
完全に、面白い遊びを見つけた小学生男子の顔。
あれ以来、ますます付きまとわれるようになってしまった。
あまりにもしつこいので、
「この前のパラレルワールドの話、作り話だから」
と言ってみたけど、
「じゃ、もっと面白い話して!」ともっと面倒くさいことを言う。
なのに、肝心の美園との関係はこじれたままだ。
お昼休み、チャペル前の芝生で一人でお弁当を食べていると、
パン田くんが現れた。
「真澄ちゃんが、たぶんここだよって」
パン田くんはいつもの笑顔で私の隣に座った。
こういう時は、聞かれる前に言っちゃった方がいい。
この何日かで学んだ教訓だ。
「この前の人ね、友だちの彼氏なの。
いろいろ行き違いがあって。でも、大丈夫だから」
「本当? それならいいけど。
前もあの人ともめてなかった?」
「え? いつの話?」
「終業式の日かな。図書館で見かけたけど、
話しかけられる雰囲気じゃなくて…」
直規のことだ。
この状況を話したら、直規は何て言ってくれるかな。
黙り込んだ私の隣にパン田くんがちょこんと座る。
「カッコイイよね、あの人」
「あの人って、どっち?」
「どっちって、同じ人でしょ?」
「あ、うん、そうそう」
「はっさく、ちょっと動揺してる?」
「してないって」
「嘘だ。好きなんでしょ、あの人のこと」