冬至の日に絡んできた大学生っぽい男。
あんなに間近でにらまれたんだもの、忘れられるわけない。
でも、この前よりちょっと幼く見えるのは気のせいかな。なんて思っていたら、男と目が合ってしまった。
どうしよう、こっちに歩いてくる。
まるで、男の視線で地面に縫い付けられたかのように、足が動かない。
心臓だけがドクドクと派手な音を立てる。
仕方ない。こうなったら、直接対決だ。
いざとなったら大声で叫んで人を呼ぼう。
目の前に迫った男の目を見て、腹を決めたその時だった。
「あの、お先にどうぞ」
170cmの私より背が高いその男が、恥ずかしそうに言った。