「んーもうっ! ユーリってばいつまで
落ち込んでる気ぃ?」
「ん~……分かっちゃいるんだけどねぇ~……」
「気持ち切り替えてさっさと寝なよ。そんな風だと
また明日も失敗するよー。じゃ、お休みぃ」
「ん、ありがとね。お休み」
あぁ~~、それにしても……思いっきり凹む……。
何時にも増して ”ダメダメ” な1日だった。
今日は左門さんの体調があまり良くなかった事も
あり、いつもより1時間早く店じまいした。
愛実だって、結局何をしに来たのか?
分からなかったが、情けない従姉妹に対して
呆れていたのは間違いないだろう……。
プププッ プププッ プププッ ――――
(施設での生活ではスマホ等生活必需品以外の
モノはほとんど”贅沢品”と見做され、
バイトしたお金で購入したとしても
事務所預かりになるが、退所を控えた者に限り
特例で居室での使用が認められている)
スマホの通話着信。
ん? 誰だろ……
ロクに発信者名も見ず出てたら ――
『悠里? 一体あなた愛実に何を言ったの?!』
それは何時まで経っても子離れ出来ない
伯母・文乃(ふみの)
「いきなり何よ」
『愛実の事よっ。一体、何を吹き込んだの?!
あの子ったら今頃になって**組の仕事を
キャンセルする、なんて言い出したのよ』
「……」
『怒らないから、正直に言ってごらんなさい』
「……あのさ、悪いけど私何の事だかさっぱり
分からないし。疲れてるんで、この話しは直接愛実と
してよ」
『疲れたなんて ――! たかが足掛けのアルバイト
でしょっ。妙な所で働いてるから、やっぱりあなたも
変わったのね。叔母さんに向かってこんな口の聞き方
するなんて』
これには、流石の私も ”カチン”ときた。
『だから反対だったのよ、あんな水商売。いい加減、
あんないかがわしい仕事は辞めなさい。変な意地を
張らずにこっちへ帰ってくればいいわ』
以前は私の引取を拒否っていた癖に良く言うよ。
「……そうゆう所、伯母さんと愛実はそっくりだよね」
『え ……?』
「言っとくけど私、愛実とは2年前から
まともな会話なんてしてないよ。ついでに言えば
”フードエキスプレス”はいかがわしいお店なんか
じゃないわ。失礼なこと言わないでっ」
『そんな話をしてるんじゃないでしょ、今は。
だいたい愛実に ――』
「何でも私のせいなの?? いきなり電話してきて、
普通の伯母なら元気なのかくらい、聞くもんなんじゃ
ないの? そういうの1度だって伯母さんが言って
くれた事あった?
この*年、私のこと気遣ってくれたのはお店の人や
お客様達だけだった。あなたじゃない。
伯母さんがそんな風だから愛実だって煮詰まって、
追い詰められて、バカなこと言い出したんじゃ
ないの? もう少し人の話を聞きなよっ。
何でも決めつけて、罵るばかりじゃなくてさ」
久々に激昂し一方的に通話を切った。