「…今の返事、演技だね。」


え、演技…?

司馬の言葉に、令美は立ち上がった。


「…違うよ、私の本心を言ったまでよ。」


「文は本心かもしれないけど、それを言う本人が自分から抜け出して演技をしてた。」


令美はかぁっと顔が赤くなり、何も言い返せなかった。


「プロの目は誤魔化せない。おそらくさっきのあいつも、お前の本心は伝わっていない。ああ言う時が一番、演技じゃなく本心で言葉を言わなきゃいけないんだ。…ま、素人の君に言っても意味ないか。」

ふっと笑みをこぼしながら、司馬は迎えの車に乗り込んだ。


令美はその場に立ち尽くして、彼の車が去るまで何も声が出てこなかった。



な、な、な、何よあいつー‼︎‼︎‼︎