「いやー、やっぱり本物の俳優さんが居たから刺激されたのかな。みんなの演技もいつもよりすごく良かったよ!」
司馬やテレビスタッフが帰った後、部員達はようやくほっと一息ついたようだ。
「令美のラストのあの笑顔もすっごく良かったよ‼︎」
「ありがとう。」
自分でもいい演技ができたと思う。
演技…?ううん、あれは自分自身だった。
悔しいけど、やっぱり司馬くんはプロ。
彼のおかげで、もっと舞台を勉強したいと思えた気がした。
***
「…奏多、あの相手役の子。なにかすごく人を惹きつける力があるね。」
司馬の事務所の人が帰りの車の中で言った。
「…ああ、俺もそう思うよ。彼女は、向いているかもしれない。俺たちと、同じ世界がー」