翌週、いよいよ司馬本人を交えて初めて練習する日がやって来た。
テレビスタッフも来て、ドキュメントには練習風景も撮影するそうだ。
先生はじめ、部員全員が緊張していたが、令美は一人メラメラと燃えていた。
「宜しく。」
司馬が部員達に挨拶し、令美の前まで来るとこの間と同じ少し意地悪な笑みを見せた。
「よ、宜しく…」
シーン38
幼馴染の裕也が想いを寄せるカナに告白するシーン。
カナは絵を描くため外国に留学を決める。
しかし、両思いだと分かったカナは留学をしぶるが、裕也は彼女を抱きしめて、笑顔で彼女を見送るという切ないシーンだ。
テレビスタッフの希望でいきなりこの場面をやる事になった。
『一度外国へ行ったらいつ帰れるか分からない…裕也と離れ離れになるなら、私、、』
裕也はカナの腕を引いて自分の胸の中に抱きしめた。
『…俺はカナの夢を潰すことは出来ない。行っておいで。それで必ず賞を取って、俺の所に帰って来るんだ。』
「おお〜〜〜‼︎‼︎」
部員達から歓声が上がった。
さすが、本物の俳優の演技に皆が拍手をした。
もちろん、令美も。
司馬に抱きしめられて、一瞬身体が熱くなった。
その後も順調に練習とその風景の撮影が勧められた。