「じゃ、裕也と栗原さんと一緒に帰ろう。栗原さん、一緒に帰ろっか?」

そう言われて、僕は友梨に視線を向けられた。

「いや、僕も遠慮しとくよ」

そう言って僕も、彼女の誘いを断った。

「え、栗原さんも!」

僕の返事を聞いて、友梨は目を丸くして驚いた。

ーーーーーー当然だ。今日は、美希さんが働いている店に行く予定だから。つまり、これから二人で美希さんに会うんだ。

「まぁ、美希。また、一緒に帰ろうぜ」

そのとき、裕也が会話に割って入った。そして、美希に軽い口調でそう言った。

短い言葉だったが、裕也の言った言葉の中には幼馴染ならではの優しさが込められていた。

「うん」

裕也の言葉を聞いた美希さんは、顔を赤くして細い首を縦に振った。

「じゃ、友梨。今日は俺と一緒に帰るか。ひとりで帰ってもおもんないし、どうせ帰り道一緒だから途中まで一緒に帰ろうぜ」

軽い口調で言いながら、裕也は友梨にそう声をかけた。

「え、いいの?」

「いいよ、帰り道一緒なんだから。一緒に帰ろうぜ」

そう言って裕也は、手にカバンを持った。

「じゃあな、美希」

「バイバイ、美希」

「じゃあね」

二人が一緒に帰って行く姿を、美希さんは切なそうな表情で見ていた。