「朝から大声で泣くな、未来。うるさいやろ。早くご飯食べて、学校に行け。遅刻したら、許さないからな」

こんな状況でも、父親は学校に行けって怒る。

学校がそんなに大事なんだろうか?勉強がそんなに大事なのか?悲しみにくれる時間さえも、僕にはないのか?

「未来、静かにしなさい。叫んだら、近所迷惑にになるでしょ。男なのに、声を上げて泣くなんて恥ずかしいやろ」

僕の心配ひとつせず、母親は世間体を気にする。

そんなに世間体が大事なのか?好きな人が亡くなったのに、男だからという理由だけで声を上げて泣くのもダメなの?

血が出るぐらい、僕は下唇を噛んだ。

美希さんとやり残したことは、まだまだたくさんあった。そして美希さんはやっと、苦労の末、裕也に告白するつもりだったのに………。

もうこの世にいない彼女のことを思い出すだけで、僕の目に涙が込み上がる。