「あ、あの〜。後、何分ぐらいでしょうか?」

「そうですね。三十分ぐらいでしょうか?」

「そうですか」

「ごゆっくり」

松岡店長はにっこりと笑って、待合室から出ようとする。

「その坂口かなさん、って、今までずっと休んでましたか?」

僕の心臓が、ドキドキする。気になってつい質問してしまったが、言ってしまったことは取り消せない。

「はい、そうですよ。今日から、出勤です。ラッキーですね」

意外にも冗談ぽく返してくれたことに、僕は安心した。そして、彼は待合室から出た。

「………」

この瞬間、あの掲示板に投稿されていた無数のスレッドがほんとうだと思った。

待合室に設定されている、クーラーの風が異常に冷たく感じた。