私が借りている京都の伏見区のアパートに帰ったのは、夜中の一時ぐらいだった。

夜空には弓のような細い月が浮かんでおり、暗くなった京都の街を淡い光で照らしている。

「ふぅ」

私はライターを右手に持ち、タバコの先端に火をつけた。先端から淡い煙がゆらゆらと立ちのぼり、口から煙を吐き出した。

「優太と詩織、楽しかったのかな?」

私はそう思いながら、コンビニで買った缶ビールをゴクリと飲んだ。口の中に冷えたビールのほろ苦い味がシュッワと広がり、喉が波打つ。

「ん!」

吸っていたタバコを灰皿に押し付けた後、私はスマートフォンを見た。スマートフォンを見ると、LINEが一件入っていた。

「誰からだろう?」

私は眉間にしわを寄せて、LINEを確認した。

【清水、仕事終わったか?なんか最近物騒な事件があったし、ちょっと心配したんだ。それと、風俗嬢を殺害した犯人の有力な手がかりが見つかったらしいぞ。なんか被害者を殺害するときに取っ組み合いになって、左腕をケガしたらしいんだ。たいしたケガではないらしんだけど、三センチぐらいの切り傷が左腕に残っている奴が犯人らしいんだ。次は、一緒に飲みに行こうぜ。優太】

LINEの送り主は、優太からだった。