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　「椎名さん、お待ちしておりました。あぁ、江藤さんも。本日もよろしくお願いします。」
　受付で通された会議室に足を踏み入れると、入り口から見ると奥に当たるホワイトボードの手前の椅子に腰を下ろしていた結城が立ち上がり挨拶をしてくる。
　今日も日万凛は席を外している様だ。
　少し残念な気もするが、仕事に集中しなくては、と意識を切り替える。

　椎名が資料の説明をし始め少し経った頃、会議室をノックする音が聞こえる。
　結城が「どうぞ。」と、声を掛けるとそこには日万凛ともう一人女性が、そしてスリーピースを着こなす少し年上の男性と共に入室してきた。

　「あぁ。椎名さん、こちらから時間指定までさせてもらって遅れてしまってすまない。本日もよろしく。」
　スリーピースの男性は椎名を確認すると表情を柔らかくし、挨拶をしてきた。
　そして千隼を確認すると「…初めまして。今回の企画の田崎と共にリーダーをしてます不破しのぶと申します。田崎の直上司に当たります。よろしくお願いします。」聴きやすい声でそして丁寧に挨拶をされ、千隼は素早く立ち上がり名刺交換をする。

　「初めまして。椎名の同僚の江藤千隼です。本日は勉強を兼ねてご一緒させていただきたく、ついて参りました。」
　当たり障りない、それに失礼に値しない程度に挨拶をする。本心は日万凛と話したいから、そんな事は言えるはずはない。

　全員が席について、改めて椎名と結城を中心に話を進めていく。千隼は今回はあくまでも見学である。
　椎名自身は知らぬとはいえ、キッカケをくれた椎名に報えたらいいかと彼女のこの仕事に関しても過去の資料見て叩き込んではきた。
　サポートに関しては万全の構えで千隼はこの会議を見守った。