お酒も少し進み、蒼生の少しぎこちない雰囲気が取れた頃に潤が切り出した。
　「蒼生、この前日万凛とデートしたんだけどさ〜その話、聞きたい？」
　その言葉に少し蒼生は不貞腐れている。家に来てからの蒼生は色んな顔を見せてくれる。
　潤が引き出している、と言うのが正しいのだろうか。
　日万凛と二人の時はスマートな装いの部分が前面に出ているような蒼生が、居心地悪そうにしたり、不貞腐れたりと忙しい。
　そんな表情を見れて日万凛は嬉しく感じている。心の距離がグッと近づいた様な、そんな気がするからだ。

　「…どうせ潤のシスコン発言聞かされるだけだろ…」
　軽く潤を睨みながら言うセリフが可愛いと、日万凛は思いつつもこの件に関しては少し静観することにした。
　正直、どう切り出したらいいのかわからなかった、と言うのが本音だ。
　それに潤なら上手く纏めてくれるのではないのかと頼った形になる。
　「ねぇ、日万凛。言うよ？大丈夫。俺がそばにいるだろ。」と、そんな日万凛の考えを読んだ潤は日万凛にだけ聞こえるようにそっと囁く。
　「この前、日万凛の職場まで迎えに行ったんだけどさ。てか日万凛とデートする時はいつも迎えに行くんだけど。その時に会ったんだよねぇ。江藤千隼にさ。」