先日BARに行ってから日万凛は度々BARでの話を思い出し、思い出に耽ることが多くなった。
 出勤途中、仕事の合間、家でくつろいでいる時。さまざまなシーンで日万凛は過去を振り返る。
 今までこんなに思い出に浸ることがなかったのに不思議な感じだ。

 あの日、意味も知らずただなんとなく選んだカクテル。その意味がとても印象的でそして日万凛の気持ちを騒がせてくる。
 「色褪せぬ恋…か。」

 日万凛が恋したのは学生時代が最後。今は別れてしまった元彼との付き合うきっかけを作ったのは日万凛の幼馴染、神崎蒼生(かんざき あおい)だった。日万凛の実らなかった初恋の相手でもある。
 ジンライムのカクテル言葉を聞いて以来、日万凛は元彼ではなく、蒼生の事を思い出す様になった。