「「かんぱーい!!」」

 個室に入り早速アルコールを体に入れる。仕事終わりの一杯は格別だ。オーダーしたものが届く間、お通しを摘みながら潤は口を開いた。

 「で、日万凛。なんで元カレである江藤千隼が日万凛の会社にいるの?ストーカー?日万凛可愛いからなぁ。マジムカつく、江藤千隼。」

 蒼生の話を日万凛側から聞く予定だったが、予定変更。まずは、江藤千隼のことを問い詰めることにする。
 敵意むき出しの潤に苦笑しながら日万凛が仕事関係で偶然に、と教えてくれた。
 最近の日万凛の周りは蒼生の件にしても、今回の千隼の件に関しても偶然が重なる。

 「今日まで知らなかったんだけどね。ほら、CM等広告代理店に外注しているって言ったでしょ?どうもその広告代理店で働いてるみたい。担当の、椎名さん。今日来れなかったみたいで、彼女の同僚が千隼みたいなの。」

 その日万凛の表情は少し困惑を覗かせていて、日万凛にとっては不本意の再会だったのかもしれない。なんとなく、少しギクシャクした雰囲気で居たからもしかしたら何かあったのかもしれない。
 それを日万凛が話してくれるかは別の話だが。

 日万凛が話し終わった時、タイミングよくオーダーした食べ物が届く。日万凛はこの店の唐揚げが大好物だ。ニコニコしながら唐揚げをつまむ日万凛を見て潤は嬉しくなる。
 世界中に叫ぶたい、「俺の日万凛(姉貴)は可愛い」と。日万凛の表情に瞬殺され脳内思考がお花畑になったのを頭振って追いやり日万凛に話しかける。

 「ふーん。代理でって事だしもう江藤千隼に会うことはないかもね。で、そう言えば俺に聞きたいことあるんだっけ?」