「…江藤、千隼？蒼生、日万凛と江藤千隼が会ってるの、知ってるのかな…」
　二人の様子を見て潤は独りごちる。
　ソファーに座ったまま、二人を見つめ逡巡する。これは蒼生に報告してあげようか、否か。
　二人がエントランス中央付近まで来た時、日万凛が潤に気付き手を振ってきた事でその考えも断ち切れた。

　「あれ？もしかして潤くん？」

　千隼が潤を認識し、確認するかのような問いかけに「ああ。」とぞんざいに答え、二人にに向け言い放つ。「じゃー日万凛とデートなので。エトウ先輩はとっとと帰って下さい。」と。
　そんなシスコン対応に千隼も慣れたもので「ははっ。潤くんは相変わらずだね。じゃ、日万凛よろしく。」と告げつとエントランスをくぐって去っていった。

　千隼と別れた後、近隣に停めてある車に日万凛を引き込み発進させる。
　まずは日万凛のマンションに。日万凛のマンションの駐車場を月極めで契約しているのだ。
　そこから電車で新宿まで移動して予約した店に行った。