「で、しのさんにジンライムのカクテル言葉教えて貰ってそれが【色褪せぬ想い】と知った時、日万凛は誰を思い出した?俺は日万凛だった。」
日万凛は約一年半前の記憶を思い出す。あの時、日万凛がカクテル言葉を聞いて思い出した事。
「……私は、あのカクテル言葉を聞いた時、一番最初に蒼生の事を思い出したの。変だよね。付き合ってた千隼じゃなくて、蒼生だったの。それからずっと、蒼生の事、思い出してた。」
一度、素直になると意識したせいだろうか。
日万凛はカクテル言葉を聞いたその時の気持ちをそのまま蒼生に告げた。
その日万凛の言葉を聞いて、緊張した面持ちの蒼生の顔に朱が差す。だがそれも一瞬で、千隼の名前を出した時は悔しそうな顔をした。
その顔を隠すかのように日万凛を抱き寄せ、耳元でそっと囁いた。
「日万凛、俺の女になれよ。大事にする。もう、昔みたいに泣かせないから。」
その蒼生の言葉は日万凛の胸にストンと落ちた。ああ、もう隠さないんでいいんだ、と日万凛は一人納得する。
そして無意識に蒼生の背に手を回し、蒼生の胸の中でコクリと頷いた。