日万凛情報ではあるけれど、蒼生は学生時代からそれなりに恋愛の場数は踏んでいるであろう。
 だが、日万凛は恋愛の経験が少ない。恋愛に多感な女性ならちょっとしたアプローチでも上手くキャッチする事が出来るかもしれないけれど、その能力を日万凛に求めるのは酷だ。

 蒼生からのキッカケ待ちの待機を日万凛にさせても、そのチャンスを見逃したり、ぐるぐる悩んで二の足を踏んでしまう状況が目に浮かぶ。
 結局、泪はそんな日万凛に「神崎さんの言葉をシンプルに受け取ってあげて。そして日万凛は自分の気持ちに素直になりなさい。」と伝えるに留めた。
 言葉で言うには単純な事だけれど、これがきっと一番難しい。けれどもこれが一番、二人が必要な事。

 「さて、じゃ、取り敢えず午後の仕事頑張ろう?後でまた話聞くから!」
 お昼も終わりに差し掛かったのでそう言い泪は席を立ち上がった。

 ……神崎さん、頑張って下さいっ!
 日万凛は手強いですよ!!

 心の中で蒼生にメッセージを残したのはここだけの話。