視点変更は広告会社の人の案だ。完成のCMを観た時、視点を男性に変えて正解だったと実感した。

 学生時代に初めて付き合った女性と大人になってから偶然再会して、当時の想いが色褪せてなかったと実感する。

 そんな在り来たりなストーリーだけれど、在り来たりなストーリーこそ安心してドキドキ出来ると日万凛は思っている。
 そしてこのCMはなんとなく自身の今の気持ちに重なる。
 完成したCMを観て、実際関わっていた日万凛や泪だってドキドキした出来だった。

 発売当日、就業終わりに食堂に企画に関わったメンバーが招集かけられた。
 不破が発売記念にとちょっとしたお疲れ様会を企画してくれていたのだ。
 発売したばかりのカクテルカレシで乾杯をする。発売した安堵感と職場で終業後と言えども堂々とお酒を飲むと言うちょっとした後ろめたさがスパイスになり、このプチお疲れ様会は楽しい時間になった。

 ふと思い付きで企画をすることになった時は、一年後こんな達成感を感じることがあるとは思わなかった日万凛は感無量になり職場で泣くと言う失態をおかしてしまった。
 企画始動当初、気難しい顔していた男性の先輩社員が労ってくれたりするものだからますます日万凛は泣いてしまい、それにつられ泪を始め女性社員もらい泣きの連鎖に男性陣が苦笑する結果となった。