逢いたいとスマホ越しに囁かれたり、それだけでも恋愛から離れていた日万凛にはドキドキものだ。
 特に仕事で疲れている時に色気を含む声で言われてしまったら恋愛不器用な日万凛には一発でノックアウトだ。
 チョロいな、と日万凛は自分を評価する。

 もう蒼生は忘れてしまっただろうと思っていた子供の頃の想い出、当時日万凛が好きだったもの、事を覚えていたり。
 それが日万凛でさえ忘れてしまっていた事とかもあり話題が尽きない。
 その様な他愛のないやり取りの中で時々散りばめられる日万凛が知らなかった蒼生の甘い言動に振りまわされ、その都度心臓をバクバクさせている。

 蒼生は連絡取り始めた当初から日万凛が着手しているカクテルの発売日がある週末、この日に会いたい伝えてきた。
 次会う事を匂わされた時、日万凛の仕事がひと段落ついてからと伝えたからだ。
 蒼生はそれまでの会えない時間は電話やメッセージアプリでのやり取りしたいといい、それを実行してくれている蒼生に、日万凛は徐々に絆されていった。

 そして、日万凛が初めて企画から関わったカクテルの発売は明日に迫っていた。
 今週末、蒼生と二ヶ月以上ぶりに会う。