そしてこの二ヶ月ちょっとのやり取りで日万凛を戸惑わせているのは蒼生の態度だ。
 思春期の頃の様なギスギスな感じではなく、なんだか甘い。それがメッセージでも電話でも顕著に表れている。

 勘違いしたくなる。いや、もう勘違いしかけている。
 蒼生は日万凛のことを意識しているんじゃないか、と。
 学生時代の蒼生に対しての嫌悪感は一体どこに行ってしまったのかと日万凛自身も思う。散々溜め込んだ嫌悪感よりも、心の奥底に鍵をして閉じ込めていた恋心の方が溢れ出てきてると実感している。

 直接的な言葉はただ一度も蒼生から貰ってはいない。勿論、日万凛からも何も伝えてはない。
 蒼生の言葉は無意識になのか、意図的になのか分からないが、日万凛を女として意識されているというのが電話越しにもわかる発言が多数散りばめられている。