あの飲み会の後から企画は大詰めに入った。
 不破に思いつきで「カクテル飲料ってあまりスーパーとかで売ってないですよね?」と話してからもう一年近く経つ。季節は梅雨真っ盛りの七月だ。
 飲み会の後からの二ヶ月はそれは怒涛の勢いで仕事に向き合ってきた。第一弾の発売日も決まった。

 何度もプレゼンを重ねて、漸く広告会社と勧めていたCMの流れも決まり、CM撮影。それとスチール撮影。販促物の作成依頼。外注も多く広報がメインで動いてくれている。
 結城を筆頭に広報部のメンバーが、ここぞとばかりに力を発揮している。
 日万凛自身もリーダーとして、今まで以上に擦り切れそうな現場であるが、この企画に携わっているメンバー皆が頑張ってくれている。

 商品の開発はもう着地するが、販売してからが商品の本当の勝負である。
 周防が所属している営業部も各方面に営業掛けてくれ、初動に関しては当初の予定よりも上回る売り上げになりそうで、当初はこの企画自体を渋っていた上の人達も一安心しているであろう。
 不破もそんな現状に、一安心しているようだ。