だが、これはいいチャンスではないだろうか。蒼生を横目で見ながら泪は思う。
 戸惑う日万凛を放置して、泪は蒼生に伝えた。
 『日万凛はちゃんと神崎さんと話し合っってきなさい。』
 そう言って戸惑う日万凛を送り出した。
 蒼生の友人は多分、日万凛でいう泪のポジション、だがらこの友人も日万凛を傷つけたりはしないだろう。 智之が迎えに来たと同時に慰労会は解散した。男性陣はカラオケでオールするらしい。周防がいるから多分どっかで女の子にナンパでもされるんではないだろうか。それに振り回される結城が気の毒だなと思う。

 泪は車中でその日の出来事を智之に話す。智之は泪の女友達に全く興味もない。だが日万凛だけは妹に似てるとかでお兄ちゃん気取りで接する。日万凛もそれを知ってて対応してくれている。
 兄ちゃん気取りの智之に、日万凛の幼馴染に会ったと報告したら日万凛の心配し始め、そんな智之に苦笑しながら助手席のシートに深く座り直して泪は話を続けた。
 日万凛にさえ過保護な智之だから、智之の本当の妹はもっと過保護に接するのだろう……以前、智之の妹に会った時、そう言えば過保護すぎると愚痴ってたけと思い出す。