あの日万凛が幼なじみと一晩過ごした。泪にはそれが衝撃だった。

 慰労会の日。日万凛が今回の企画のきっかけを作ったという、BARに連れて行ってもらった。照明を落とした店内。BGMはジャズ。店内はとても落ち着いた雰囲気。
 席着いてからおしぼりを届けてくれたバーテンがイケメン、カウンターにいるマスターもいい感じで渋く、いかにも“オトナの男性”だ。
 泪はこんな近場にイケメンがいるのにときめかない日万凛が不思議で仕方ない。今回連れ立ってる周防も結城もイケメンなのに。

 そろそろ帰ろうか、という時。これまたイケメンが日万凛に声をかけてきた。
 日万凛の名前を知っている様だが、日万凛は相手を知らないらしく戸惑っている。その日万凛を助けるかの様に後から現れたのが、日万凛の幼馴染だという。

 日万凛から聞いていた幼馴染、神崎蒼生はロクでもない男だったが、今、日万凛を見つめてる目はとても優しい。こんな優しい目をしているのに、日万凛を傷つけたりするのだろうか。
 日万凛は蒼生の友人の登場、そして蒼生の登場でとても戸惑ってる。しかも蒼生はここで日万凛を飲みに誘ってる。飲み、と言うかきっと話したいんだろう。