「…潤か。どうした?」
 寝ている日万凛に気遣い声を抑え、対応する。

 『あー蒼生、今日金曜日だけど、まだ馬鹿みたいにBARに通ってるの?先週日万凛とデートしたんだけどさ。今仕事忙しいって言ってたからBARなんて行ってる時間ないんじゃね?』
 『ホント馬鹿だよな、蒼生。散々女食い散らかしているくせに初恋拗らせてるし。もしかしてまだ日万凛とどーこーなりたいとか馬鹿なこと思ってるワケ?』
 まー日万凛は弟の俺から見てもいい女だけどね、とシスコン発言全開だ。
 それでも潤もなかなか女にモテる。今は彼女居ないと言っていたが。
 会話の端々に小馬鹿にした様な笑い声が含まれている。

 「いや今日、やっと日万凛に会えた。……そして、今は日万凛の家にいる。」
 日万凛は寝てるけどな、と一言添え潤の様子を見る。
 先程まで含み笑いで話してきた潤はそれをやめ、『ッチ』と舌打ちする。

 『…お前、ふざけるな。何?どうしてそんなんなってるんだよ。むかつく。昔みたいに日万凛の寝込み襲ってんじゃねぇよ。』
 「昔を蒸し返すなよ。そして…勘違いするな、襲うどころかキスすらしてねぇよ。BARで会って、一緒に飲んで送ったんだが、そのまま寝落ちされてる。」