けれども日万凛の中の記憶、学生時代の蒼生と潤は犬猿の仲、と言った表現が正しい。主に潤が毛嫌いしていたという印象でもあるけれど。
 蒼生はBARでの再会に関して話をポツリ、ポツリと話してくれた。

 日万凛がBAR cachtteを一人で訪れた時に喧嘩していたカップルは蒼生だった。蒼生はその時、日万凛を見掛けてから定期的に潤へ連絡取り始めたそうだ。潤は相変わらず生意気だとか言いながらも何だかんだと潤と連絡取ること自体、嫌じゃないらしい。

 日万凛の知らない水面下で蒼生と潤が連絡取り合っている間、それこそ定期的に日万凛、潤姉弟は連絡を取ったり、会ったりしていたけれど潤からは一切、そのような話が出なかった。

 「潤のシスコンは筋金入りだな。」と苦笑しつつも「でもそのシスコンのお陰でお前は助けられたことがある。」と、言った。

 中学時代の頃、一時期誰かに後をつけられた事があったのだ。当時日万凛は高校受験を控えていた為、塾に通っていてその帰宅時につけられたのだ。
 気味が悪くて潤に相談したのだ。

 「そう言えばあの時。よく塾帰りに蒼生と鉢合わせしたよね?」
 だから途中から気にせず帰ったな、と日万凛は思い出す。
 結局、あの後をつけられていたのは日万凛の思い過ごしだった、そう今迄思っていた。
 暫くしたら塾帰りに蒼生と鉢合わせもしなくなったのでそう記憶している。

 「あれ、潤のこと好きな女が男使って嫌がらせしてたんだ。相手は潤とお前が姉弟って知らなかったらしい。そして塾帰りあれは潤に頼まれて迎えに行ったから鉢合わせじゃねぇ。」
 十年以上経って初めて知る真実だ。

 高校受験前といえば日万凛と蒼生は距離が開き始め学校は勿論、プライベートでも接点無かった時だ。
その様な状況だったのにも関わらず、潤と共に見守ってくれていたと言う事実が今更だけれどとても嬉しかった。