それを聞いた東雲、榊の両名は蒼生を見てニヤニヤしてコメントしない。
　それの一番の目的は日万凛にもう一度会うことだからだ。雅紀には話してないけど。
　だがさすがに半年とかいい加減虚しくなって来た。やっぱり蒼生と日万凛は合間見える事がないのか、と諦めモードにもなる。

　そんな時、BARの扉が開いた。
　男女四人で来たその客の中に、会いたいと思う日万凛がいた。

　席の案内して来た榊が蒼生に聞こえるように「今日、日万凛ちゃん来ましたねー、マスター日万凛ちゃんに挨拶して来てくださいよ！日万凛ちゃん、マスターと話したがってましたよ。」と、まるで蒼生を挑発するように、だ。
　雅紀は「日万凛ちゃん？マスターの知り合い？」と興味を持ち出した様だ。
　「俺と榊のお気に入りのお客さんだよ」と、マスターはニヤニヤと見ながら雅紀に伝え、そっとカウンターから出て日万凛の居るテーブルに向かった。
　んオーダーついでになんか情報を手に入れて来てほしい。
　雅紀がいるから口に出せないけれど、きっとマスターなら分かってくれる！！そんな、内心を隠しつつ目の前にあるグラスを飲み干す。
　しばらくするとマスターは戻ってきて「日万凛ちゃん、今日は慰労会だって。榊、日万凛ちゃんになんか一品サービスしてあげて。俺からの労いって事で」とオーダー伝えるのに必要ない、日万凛の慰労会情報をマスターは俺にもたらしてくれた。

　雅紀と話しながらも俺の頭の中ではどうやって日万凛と接触するかそれで思考は占めていた。
　時々、雅紀に「蒼生、俺の話聞いてる？」とか言われるけれど、タイミング測るのに必死な俺はそれどころじゃない。