それから時間がある金曜、BARへ足を運ぶ。
 あわよくばまたここで日万凛と再会したいという下心はしっかりあるが、東雲と榊の人の良さに惹かれたのもある。

 二回、三回目になった頃には聞いてもないのに東雲も榊も「最近、日万凛ちゃん来てないよ」とか「この前、日万凛ちゃん、職場の人と来たよ」とか話しかけて来る。
 なんだか全面的に応援されてる・・・いや、からかわれてるのか?だがそんな時間も楽しい。
 会えないもどかしさもあるけれど、蒼生はそんな今が結構気に入っている。
 
 日万凛とこのBARで再会(と、言っても俺の一方的だが)してから半年近く経った頃。
 金曜にまたBARへ足を運んだ。
 初めてこのBARで日万凛を見かけた時は、秋だったが、もう季節は桜の季節も終わり、四月になっていた。
 この日は大学時代の男友達、大野雅紀(おおの まさき)と来た。
 この数ヶ月は時間が合えば雅紀とこのBARで金曜の夜を過ごす事が定番になりつつあった。

 雅紀は東雲に「最近…いや半年位前からかな?蒼生が全然女と付き合ってなく不気味なんだけど。もしかして勃たなくなったもかも??マスター、蒼生を元に戻して!!」と意味不明の本気の心配をしている。
 蒼生は歩く性行為じゃん!とかとんでも無いこと言う。
 だが自分の今までの女遍歴見たら強く言えないのも悔しい。

 付き合っても長続きはしないし、精々一年弱と言ったところだ。
 その一年弱続いたのもただ代替えがいなかっただけである。
 フリーの時は寄ってきた女と一晩だけの関係とかもかなりあった。俗に言う、セフレもいた。
 だからこの半年近く、一切女の影がない蒼生がおかしくて仕方ないんだと思う。
 蒼生自身、そんな自分がおかしいと思う。