マーケティング部の主な仕事内容として新商品の企画、広告、広告媒体の企画業務。日万凛と不破はその中でも主に新商品の企画だ。
 普段、余り発言をしない日万凛の提案に不破は少し驚く。いい意味での驚きである。

  不破から見る部下の田崎日万凛は控え目な印象だ。それは見た目もだが特に性格がだ。
 仕事に対しての姿勢は淡々とだが正確にこなす、ミスは少ない。
 だが意見や提案を積極的に発信するタイプではないからだ。

 折角の提案だ、採用の有無は別として企画する、という経験をさせてみるか。どちらに転がってもこれは日万凛の今後の成長に繋がる。新聞から視線を上げ日万凛を一瞥しながら不破はそう考える。

 「田崎、コレ企画してみるか?カクテルを新商品として出すか。」
 不破のその言葉を聞き、日万凛は顎に左手を添え宙を仰ぎ見ながら少し考えた後、小さな声で「やってみたいです。」と、告げた。