あの日万凛が幼なじみと一晩過ごした。泪にはそれが衝撃だった。

慰労会の日。日万凛が今回の企画のきっかけを作ったというBARに連れて行ってもらった。照明を落とした店内。BGMはジャズ。店内はとても落ち着いた雰囲気。
席着いてからおしぼりを届けてくれたバーテンがイケメン、カウンターにいるマスターもいい感じで渋く、いかにも“オトナの男性”だ。
泪はこんな近場にイケメンがいるのにときめかない日万凛が不思議で仕方ない。今回連れ立ってる周防も結城もイケメンなのに。

そろそろ帰ろうか、という時。これまたイケメンが日万凛に声をかけてきた。
日万凛の名前を知っている様だが日万凛は相手を知らないらしく戸惑っている。その日万凛を助けるかの様に後から現れたのが日万凛の幼馴染だという。

日万凛から聞いていた幼馴染、神崎蒼生はロクでもない男だったが、今、万凛を見つめてる目はとても優しい。こんな優しい目をしているのに、日万凛を傷つけたりするのだろうか。
日万凛は蒼生の友人の登場、そして蒼生の登場でとても戸惑ってる。しかも蒼生はここで日万凛を飲みに誘ってる。飲み、と言うかきっと話したいんだろう。
だがこれはいいチャンスではないだろうか。蒼生を横目で見ながら泪は思う。
戸惑う日万凛を放置して泪は蒼生に伝えた。

『日万凛はちゃんと神崎さんと話し合っってきなさい。』

そう言って戸惑う日万凛を送り出した。
蒼生の友人は多分、日万凛でいう泪のポジション、だがらこの友人も日万凛を傷つけたりはしないだろう。


智之が迎えに来たと同時に慰労会は解散した。男性陣はカラオケでオールするらしい。周防がいるから多分どっかで女の子にナンパでもされるんではないだろうか。それに振り回される結城が気の毒だなと思う。

泪は車中でその日の出来事を智之に話す。智之は泪の女友達に全く興味もない。だが日万凛だけは妹に似てるとかでお兄ちゃん気取りで接する。日万凛もそれを知ってて対応してくれている。
兄ちゃん気取りの智之に日万凛の幼馴染に会ったと報告したら日万凛の心配し始め、そんな智之に苦笑しながら助手席のシートに深く座り直して泪は話を続けた。
日万凛にさえ過保護な智之だから智之の本当の妹はもっと過保護に接するのだろう……以前、智之の妹に会った時、そう言えば過保護すぎると愚痴ってたけと思い出す。