だが日万凛の中の蒼生は学生時代の蒼生のままだ。寂しくて嫌な記憶。そして軽蔑の印象が強かった記憶が多く占めている。
 俯いて考えてる日万凛に泪は「大丈夫!!日万凛は今日は神崎さんと話し合って来なさい!」と泪は最後のひと押しをした。


 蒼生は日万凛と泪のやり取りを見守り、泪の言葉に日万凛が頷くのをみてホッとする。
そして日万凛と泪の目を見て「飲み終わったらしっかり送らせてもらうよ。夏目さん、ありがとう。」といい、そっと日万凛の背中に手を当て日万凛に立つように促す。
 その様子を見て泪は「日万凛をよろしくお願いしますね」と蒼生に日万凛を預けた。
 蒼生は再び「ありがとう。」と、泪に礼を言い「これ、日万凛の分の飲食代」と一万円札ををテーブルに置き、状況が飲み込めない男二人は放っておいて日万凛をテーブルから連れ出した。

カウンターに着くと蒼生は「日万凛はここ」とカウンターの端の席に座らせた。その隣に蒼生、蒼生の隣には雅紀と座る。
 雅紀はこの席順に「これじゃ、日万凛ちゃんと話せねーじゃんか!」と言っているが蒼生はそれを無視をしている。
 そのやり取りを見守っていた榊に「蒼生、独占欲丸出しだな。」と言われ思わず見た蒼生の顔は少し赤くなっていた。